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インタビュー第5弾:ウクライナのソフトウェア会社 Skylum Software社 CTO兼創業者 ディマ・シトニック氏とのインタビュー



インタビュー第5弾はウクライナのソフトウェア・プロダクト会社のSkylum Software(スカイラム・ソフトウェア)社の創業者であり、同社CTOであるディマ・シトニック氏とのインタビューです。Skylum Software社は写真家、グラフィックデザイナーなどを中心に世界的に広く使われているAIを駆使した最先端の技術に裏打ちされた写真加工・レタッチ用ソフトウェアの「Luminar4」の開発企業として知られています。ウクライナ企業とは知らない人も多いのではないでしょうか?ウクライナには同社をはじめとする世界的に知られているのにウクライナとは皆知らない「隠れた」ソフトウェア、ITスタートアップ企業がたくさんあります。キエフにある元工場をリノベーションした広大でスタイリッシュなオフィスにてお話を伺いしました。


Q1:ディマさん本人について、御社についてお聞かせいただけますか?創業の経緯など。

とても長い話になりますが、当社は私と友人のポールの2人だけのとても小さい会社からスタートし、当初はiOS SDKリリース当時iPhoneモバイルアプリ開発を行っており、大成功を収めていました。その後、特殊効果や写真のフィルタ、加工などができるApp Photo Studioというソフトをリリースしました。このアプリはiPhoneユーザの間でとても人気を博していました。今から6~7年前、とても昔の話です。その後デスクトップ向けのソフトウェアに移行しました。昔から写真がとても好きでした。実は私はもともとゲーム開発をしており、画像の特殊効果などについて知見がありました。そしてフル・デスクトップのソフト開発に移行した後も画像処理、高解像度処理などにフォーカスし、写真家などのプロの間でユーザー層を広げていきました。主にプロ向けの高解像度の画像処理の分野です。3~4年ほどマックユーザーのみをターゲットにしていたのですがその後Windows向けのLuminarソフトも販売し始めました。過去3年間は両方のOSをサポートしています。使用するOSや、プロやアマチュアに関わらず写真にかかわる人全てに向けソフトを提供し続けています。弊社にとって重要なことは、パワフルでシンプルかつ美しいデザインを心がけています。


Q2:御社の「使命」はズバリなんでしょう?

人々が写真を編集する方法を抜本的に変えることです。今弊社はAI技術に積極的に投資しています。写真編集に関する人々の姿勢を根本的に変えたいのです。今現在写真編集は高度技術を必要とし、それをコンテンツ中心のアプローチへと変えることで光の加減などの複雑な要素を考慮せずに、例えば顔のレタッチ、空などの背景の変更などを技術的なことを意識せずにユーザーの希望通り変更できるようにしたいと思っています。最新技術を使えばこれらのことは容易に実現可能です。写真編集の仕方に革命を起こしたいと思います。写真をより美しくするだけでなく、全ての人がアーティストとして自分の好きな表現を出来るようにしたいと思っています。次世代のデジタルメディアのコンテンツクリエーターなどの人達が自由に表現できるようなソフトウェアを目指しています。


Q3:競合他社(Lightroomなど)との差別化をどのように図っていますか?

実をいうと弊社は競合他社と呼べるような会社はあまりありません。それは弊社がまず顧客第一の路線を掲げており競合他社には注意を払っていないという一面があります。しかし先ほど述べましたように弊社は人々の写真編集への取り組みを根本的に変えることを目標に掲げています。同じフィールドにいる他社と競合することにはそれほど重点を置いておりません。その代わり、顧客の要求に真摯に耳を傾け、新しい技術を常に採用することを第一に掲げ、問題解決を最優先課題に置き、プロセスの最適化を追及しています。そうすることにより弊社が自然に業界において差別化をされていくので、他のソフトウェア会社と比べられるのは理想ではありません。弊社は独自路線を歩んでいるからです。他社を模倣することは自ら何かを作り出すより簡単かもしれません。しかし独自に何かを作り出していくことが唯一の道だと思っています。そうでない場合、この業界で生き残ることは難しいからです。イノベーションこそが弊社を新たな局面に高めてくれることでしょう。より挑戦的なアプローチですがこれが我々のやり方だと思っています。


Q4:御社はAIツールに多大なる投資をしていることで知られていますが、AIツールの一例を挙げるとどのようなものがありますか?

例えばAIは人間の肌を認識し、綺麗にレタッチすることが可能です。傷や痣などがあれば弊社のAI技術が自動で補正することができます。他社のソフトウェアを使用した場合、手動でクリック選択する必要がでてきます。弊社AI技術はリタッチの必要のある箇所を正確に感知し、自動で補正できます。ワンクリックのみでです。写真家が従来してきた非常につまらない単純作業を自動化できるのです。さらにAI技術を使うことで複数枚の写真をごく自然に見えるよう一体化することも可能です。屋外で撮影する写真家の多数のレイヤーやマスキング、スマートブラシの使用、空の部分を補正したり別の空の画像と取り替えたりなどの効果をAI技術によりワンクリックでできるようにしました。空の部分、影や雲、コントラストなどを含む高画質画像の自動補正は弊社が最も得意としている分野の一つです。一度試してみれば誰もがその結果に驚くことでしょう。画像の置き換えというだけでない素晴らしい視覚効果が得られます。これは弊社がAI技術を使って出来ることのほんの一部なのです。ほとんどの技術は過去何年もの間の経験の蓄積ですが数々の新技術が常に開発されています。AI技術によりよりスマートに画像補正が出来るようになり、マニュアルでする手間や煩雑さを避けることが可能になるのです。





Q5:御社の新製品Luminar 4について、アピール出来るポイントなどあればお聞かせ願います。

先ほどまでに述べたことはほぼすべてLuminar4に関することですが繰り返すと、とてもシンプルに、パワフルにコンテンツ中心の画像補正が可能です。さまざまなツールがあり、AIやスマート技術を活用しています。アーティストがさまざまな表現を可能にするためのツールがそろっており、素晴らしい視覚効果を実現可能です。その他のソフトウェアよりもはるかにシンプルにそれを成し遂げることが可能です。当製品に使用されているAI技術はとても柔軟でさまざまなケースに対応できます。極限までシンプルにしたおかげで多くのユーザーに驚異的に受けとめられたことを非常に誇りに思っています。複雑さを排除し、シンプルにすることは当初からのゴールでありました。Luminar 4はAI技術のほんの序章に過ぎないと思っています。


Q6:AIツールの未来とはについてお聞かせください。

ハードウェア、機械学習の進化とともにツールはよりスマートになることでしょう。実現可能な機能もより増えるかと思います。今現在人間がやっているレタッチなどの作業は全て自動化可能されより美しい写真の作成が可能になります。しかしアート表現の部分は人間に残されることでしょう。AI技術はつまらない人間がやっていた単純作業を代わりにやってくれるのには最適です。しかしアート、芸術的表現は人間がする必要があります。AIがやるのは多数のスライドをハンドリングするなどの人間がやるには複雑な作業の自動化のみです。AI技術によりより簡単に視覚的な効果を得られます。最終的には写真の仕上がりが重要なのでその部分に関してはAI技術が多大な貢献をしてくれると思っています。人間はAI技術をツールとして使い、素晴らしい表現を体現する手段として使用するということに留意する必要があります。そのような表現をより短時間で実現する手助けをするのがAIツールだと考えています。





Q7:Skylum Software社の今後の戦略についてお聞かせください。

弊社の次のゴールはより多くのAIツールを活用し、エンドユーザーによりシンプルでパワフルなツールを提供することです。そして来年いよいよLuminar 4をモバイル端末でも使えるようにすることです。写真家、グラフィックデザイナーなどにどの端末やOS上でも弊社のソリューションを利用できるようにすることが次の目標です。アーティストにとってよりシンプルにスマートに画像編集ができるNo.1のツールとしてご利用いただくことが弊社の一番望みです。


Q8: 日本市場へ今後どのように展開していくお考えですか?

日本市場は素晴らしい市場で、私は個人的にも何回も日本には訪れたことがありとても大好きな国です。日本人も大好きです。日本人は写真に対してとても情熱的だと思います。世界のカメラの製造元はほとんどすべて日本です。日本の写真家のニーズに答え、より幅広い顧客層にリーチすることが弊社の目標です。日本のお客様にとっても弊社にとっても素晴らしい機会になることでしょう。日本人は写真を撮るのが大好きですが誰もが写真の編集方法を知っているわけではありません。多くの人は写真を撮った後それをどう編集、補正していいかわかりません。次世代のユーザーはさまざまなツールを駆使し、より多様な表現を実現してほしいと思っています。写真は一番シンプルなアート表現の方法だと思うからです。誰もが芸術家になりたいと思っていますが、独学で絵を描いたりピアノを学んだりするのはとても難しいことです。しかし写真は誰もが楽しめ表現できる手段だと私は信じています。


ありがとうございました!





本インタビューの動画へのリンクは以下:


Ago-ra IT Consulting、Skylumソフトウェア社へのご連絡は下記まで:

hiroshi.shibata@ago-ra.com

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