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隠れたIT大国 ウクライナの実像に迫る!第三回 スタートアップシーン

Updated: Apr 16, 2019

ここ3~4年ほどエストニアがテック大国として注目を集め始め、今では大手の日本企業、ベンチャーキャピタリスト、はたまた日本人の学生や新卒まで大注目を浴びている電子立国エストニアですが、筆者も日本人としてはエストニアのe-Residencyの取得者の初期10人のうちに入っていると思います。そのころからエストニアの可能性を見出していた筆者ですが、どうもエストニアは国を挙げての電子立国そしてスタートアップ大国としての努力が功を奏したようで今ではその実際の実力よりかなり過剰評価されている感が否めません。かくいう私もエストニアの努力は十分認めており、スタートアップ企業、海外からの投資の呼び込み、ペーパーレス政府そして必要な法整備など国ができることはすべてやっており、日本が学ぶことは多々あるかと思います。


しかし国としてのエストニアを見る限り人口が100万人で機動力があり、EUからの投資を呼び込みやすい環境など日本とはあまりに違うため、すぐに日本で同じことが出来るかと言うとそうは一概に言えない例が多いと思います。エストニアは現地のエストニア人および海外在住の他国人がエストニアで登記しているだけのスタートアップ企業が多いのですが、コワーキングスペースの数、国内需要、EU加盟国ということからくる法規制の多さ、柔軟性のなさが特に日本企業とビジネスをする上で障害になっていると感じます。人口の少なさ故、採用のしずらさと物価、人件費の高騰もそれに拍車をかけています。


翻ってウクライナを見てみるとEU加盟国でないがEUとの親和性、メンタリティや地理的な近さ、法規制、特に税制や労働法がEUほど厳しくないという利点を最大限に生かし、オフショア開発拠点としてここ数年急激に成長しました。人口4500万人のうち実に20万人がIT技術者と言われ、毎年2万人を超える理数系の大卒者がIT業界に新たな労働力を供給しています。


ウクライナのスタートアップ企業の多さには驚かされます。日本のように普通に企業や役所に就職し、終身雇用で一生を終えるというキャリアパスは全くポピュラーではなく、起業こそが成功への唯一の道だととらえられているからです。起業家の多さ、その熱意は筆者が住んだことのあるEUの他のどの国(ちなみにEU5か国に在住経験があります)よりも上だと思います。現在世界的に成功しているウクライナのスタートアップ企業の多くが米国のシリコンバレーやエストニア、イスラエルなど他国に登記をしていますがこれはウクライナのITコミュニティが政府の援助に頼らず最初から海外をマーケットと認識しており、立ち上げ当初からグローバル展開を狙っていることが関係しています。


ウクライナの首都キエフでは毎週のようにスタートアップ関連のイベントが行われ、外国人投資家や政府関係者、起業家、ゲストスピーカーを招いていることからその多くが英語にて行われています。その後に通常行われるネットワーキングパーティではほぼ全員が英語を話し、自らのビジネスを積極的に宣伝するそのハングリー精神には脱帽するばかりです。


日本の孫 泰藏氏のMistletoeが出資をしている数々のスタートアップ企業を輩出した伝説のエストニアのコワーキングスペース、インキュベーションセンター、スタートアップコミュニティのLIFT99がエストニア外の初の拠点をウクライナのキエフに置いたのは決して偶然ではありません。エストニアのスタートアップ企業の多くがウクライナにR&D開発拠点を置いているためです。


以上のことからエストニアの次のテック大国、IT立国として次に日本でBuzzる国はウクライナを置いて他にないと断言できます。残念ながら日本企業は保守的な企業が多く、メディアのネガティブな報道を鵜呑みにし、カントリーリスクが実際以上にハイライトされているため尻込みする場合が多いのですがそうしている間にも欧米企業のみならずお隣の中韓企業はどんどんウクライナにR&D拠点を作りつつあります。投資は逆張りと良く言われますがまさにほとんどの日本企業が二の足を踏んでいる今こそウクライナへ投資する時ではないでしょうか?


LIFT99ファウンダー Ragnar氏と




キエフのスタートアップイベントの様子

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